TCKの胸に秘めた願望

投稿者: | 2018年6月15日

こんにちは、你好!大家好!Hi Everyone ! 臨床心理士の初田美紀子です。
TCKについて更に詳しく説明したいと思います。

TCKが抱える違和感

本日は既にご紹介したTCKのアウトライン3つの中から、三つ目の特徴“TCKの胸に秘めた願望“について本音をお話したいと思います。

特徴No 3. 「そこの角を曲がれば自分の求めているものがある」

TCKが生きている世界は、変化に絶えない世界といえます。例えば、父親が先に他の外国に転勤になったのに、残りの家族が追いかけるパターン。または、子どもが大きくなって親の属する国や別の国に留学するために一人で移動を余儀なくされることもあるでしょう。同じ家族の生活形態も時代によって変化することも珍しくありません。そのほかに、たとえ家族が一緒にいたとても、近所のご家族や地域の先生がお引越しをされて居なくなる。環境の変化も多いことが挙げられます。このように、自己も他者も怒涛のように変化していく、変化に富んだ生活を体験していきます。それらはTCKにとっては日常になり、その変化に驚かずに、むしろ次に来たる変化に備えるかのように、前へー前へと意識が先行してしまうのも大きな特徴です。

将来期待

では、具体的に生じる問題点はどんなことなのでしょうか?わたしのケースで説明しましょう。
・日本への本帰国が決まったとき、日本に行くことに大いに興味を抱いたものの、過ごしてきたアメリカでの生活は、ずっと存在しつづけると思っていた。
・日本の小学校に行ったのちの違和感は、変化の一つに過ぎないと思い込んでいた。つまり、この日本を脱出さえすれば、自分の違和感は終了できる些細なものにすぎず、時の経過に従い簡単に解決すると思っていた。
・その場その場に適応するためだけに、役者にように合わせる自分がいた。
・環境に違和感が生じると、一歩引いて、自分の立ち位置を冷ややかに観察する冷静さがあった。

多様性の中で自分がわからなくなるTCK

このように、TCKは変化に富んだ多様性の中で、自分の位置づけをどのように捉えたらいいのか、常に疑問がつきまとう人生で あると言えます。目の前にある課題を成し遂げるために、時には役者にもなり得るTCK。自分の所属する場所がどこにあるのか分からなくなるのは、この環境の中では、当然のことと言えます。しかしながら、家族メンバーが生活に忙しかったり、自らの行動や発言に責任感が強い傾向も重なると、未来に期待を託したくなるのも想像に難くありません。そうして、自分の対面を保っていくのかもしれません。

TCKによっても、どの国に滞在しているのか、また複数の国々を跨いで移動しているのか、さらには、アイデンティティー構築程度(学齢期の年齢で獲得してきたもの)によっても、所在のなさで悩む程度の差は生じます。しかしながら、ケースバイケースと敢えて処理をせずに、周りの大人たちがTCKの言葉にならない言葉を感じて、丁寧に拾ってほしいと考えます。

子どもは、どんな子たちでも、普通の子どもたちであること。居場所を常に追い求めており、安全と安心した環境を望んでいることを、今一度、想い描いてくださいね。

参考文献:
『サードカルチャーキッズ』多文化の間で生きる子どもたち/ デビット・Cポロック他 著