TCKが抱える違和感

投稿者: | 2018年4月18日

こんにちは、你好!大家好!Hi Everyone ! 臨床心理士の初田美紀子です。
TCKについて更に詳しく説明したいと思います。

TCKが抱える違和感

本日は既にご紹介したTCKのアウトライン3つの中から、二つ目の特徴“TCKが抱える違和感“について本音をお話したいと思います。

特徴No 2. 成長のいづれかの時点(世界)で違和感を感じている

TCKが生きている世界は、とても多様性に富んでいます。実は「普通」という言葉を、むしろ意識しないで生活していることのほうが多いかもしれません。人種、国籍、衣服、文化、宗教、両親が所属する組織は、みんなさまざまです。そこで出会う人や仲間の共通点を見出すことに関心がないというよりは、あまりにも違いが大きいために、それは生活にある当たり前のこととして、子どもたちは自然に受け止めていくものだと感じます。TCKとしての地域社会は、たえず流動的で変化に富んだ瞬間の連続とも言えます。例えば、隣のお家の仲良しのAくんは、1か月後には引越し(帰国)してしまうことすら起きるのです。そして、すぐに新しいB子ちゃんがやってくるという具合です。自分が動いていなくても、周りの人たちや物が絶えず動いているのです。

では、どんな時に違和感を感じるのでしょうか?わたしのケースで説明しましょう。

語られない違い

・日本への本帰国が決まったとき、母親がとてもとても喜んでいた。わたし自身はまったく嬉しくなかった。なぜならば、アメリカ現地校のお友達やバレエの先生とのお別れを意味するから。
・日本の小学校に行くと、みんなが整然と黒板に向かって座っていた。机の並び方が怖かった。なぜならば、アメリカの教室にある机たちはいろんな方向を向いていたから。
・日本の小学校で、「アメリカには成績表はあるの?」と話題になった。当時のわたしは、偶然に日本語の単語を知らなかった。なぜなら、英単語“gradebook”として理解したものだったから、その対応訳をしらなかっただけ。それなのに、「知らないってことは、アメリカには成績表ってないんだ!すごい、いいな~」とクラス中が大騒ぎになってしまった。それ以来、日本語がわからなくても敢えて人に知られないようにしていた。なぜなら、面倒くさかったから。

語られないTCKの違和感

このように、TCKは日常生活の中の様々な場面で、違和感を感じることが多いと思われます。それは友人に対してだけでなく、両親に感じていることさえあるのです。しかしながら、それを正確に伝えて理解されることより、自分のありのままの体験を受け止めてもらえる可能性が薄いと感じると、無理にこじあけずに、相手に合わせてしまうことも少なくありません。否定されたり理解されない体験をすることを想えば、自ら本当のことを発言する意味を見いだせなくなり、意識が薄れる、つまり気力が失せていくのです。

TCK違和感

TCKによっても、どの国に滞在しているのか、また複数の国々を跨いで移動しているのか、さらには、アイデンティティー構築程度(学齢期の年齢で獲得してきたもの)によっても違和感の差異は生じます。幼少期に異文化体験&移動の経験したTCKは本帰国後により大きな違和感を抱えたり、学齢期を過ぎて比較的大きくなってから海外に出たTCKは、移動した先の社会で違和感を多く覚える印象があります。ケースバイケースではありますが、TCKが語らない違和感を抱えていることは特徴として挙げられると考えます。

子どもは、どんな子たちでも、普通の子どもたちです!大人の私たちが改めて子どものありのままの姿を感じ、言いようのない体験や語りようのない気持ちを抱えたままでいるTCKと一緒に、自分を表現できる出口を見つけていきたいですね。TCK自身が周りにも頼れるものがあると感じてほしいからです。

より多くの方々にも、生活や社会への適応にいつもチャンレジしているTCKの姿を認めてほしいものですね。

 

参考文献:
『サードカルチャーキッズ』多文化の間で生きる子どもたち/  デビット・Cポロック他 著

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