“ないない”の世界

投稿者: | 2018年4月14日

こんにちは、你好!大家好!Hi Everyone ! 臨床心理士の初田美紀子です。
TCKについて更に詳しく説明したいと思います。

TCKの世界=ないないの世界

先日このBlogでご紹介したTCKのアウトライン3つの中から、今回は一つ目の特徴“ないない“世界を多く体験しているTCKの実態を詳しく見ていきましょう。

特徴No 1. TCKの世界=ないないの世界

TCKが生きている世界は、実は「ないない」ばかりと表現しましたが、厳密に言えば、ある事柄を表現するその事柄の外に存在しているという感覚です。つまり、「~~でない」という表現はできるけれども、具体的に描写できる、言及できる枠組みの中には存在しないと言い換えることができるのです。少しややこしいですね。

例えば、わたしを事例に述べてみましょう。

  • 5-8歳まで暮らしたアメリカNYは、両親が有している文化圏の世界ではない。
  • NYの現地校(小学校)でのわたしの生活は、現地の友人の生活そのものではない
  • 近所に住む日本人のお友達とも日本語と英語を織り交ぜて話せて遊べるが、同じ感覚を持っているという一体感はなかった。
  • 「一時帰国」という言葉の意味は理解していたが、「本帰国」という意味は理解していなかった。
  • 学童期には自分の生い立ちの説明を簡潔にすむことには注意を払うが、事実に忠実に話したいという気持ちはあまりなかった(いまも躊躇する)

ないない世界2

このように、TCKは「~でない」という世界にすっかり入り込んでしまっていることが、お分かりいただけると思います。逆に言えば、しっかりと表現できる客観的対象が存在すること、または「~~である。」という表現方法を用いて表現することが極端に少ないとも言えます。

TCKにとっての自国文化は両親の文化ではありますが、海外体験をすることにより、自己を両親の有する世界と絶えず比較する現実(結果)があるのです。それを重ねているうちに、知らず知らずに、どこにいても中途半端という現実を創っていくのでしょう。これが、「すべてに属すると同時にどこにも属さない」感覚を生み出しているのです。

TCKも普通の子どもです

TCKは周りとは異なる経験をしているだけで、安全感の中で、愛し愛され理解されるという大事な人間関係を築いていくことは、必要不可欠です。TCKが人間としての基盤が違うと認識されることのないように理解されたいものです。

子どもは、どんな子たちでも、普通の子どもたちであることを大人の私たちが改めて認識し直し、大事に育てていきたいですね。

参考文献:
『サードカルチャーキッズ』多文化の間で生きる子どもたち/  デビット・Cポロック他 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4883195260/